前置詞ofを辞書(『ジーニアス英和辞典』電子辞書版、大修館書店、2002年)の記述に沿って見てきました。第1回(18-04-01)で「of + 名詞」の句が名詞につく場合は
~(について)の、~に関する
動詞(・形容詞・副詞)につく場合は
~について、~に関して
という訳語で意味は取れます、と書きました。このような関係・関連という見方は一番意味が包括的で抽象的なとらえ方になり、of句の意味としてはあいまいですが、普通は文脈がありますからこの訳語をあてはめることで大きく意味をとり違えることはありません。
実は今まで説明してきた用法はこの「関連」の意味の細分化です。そうすると、ここで(辞書では12番目の用法として)[関連]を出すのは今までの細分化してきた概念にあてはまらない「その他の」用法ということになります。前置詞ofの意味内容はほとんどゼロ、ただつなぐだけ、という文法的・構文的な用法ということになります。
例として挙がっているのは
stories of adventure 冒険の話
そして、動詞につく
speak of [about] it そのことを話す
ですが、ofをカッコ内のaboutとすると
「詳しく話す」というニュアンスがある
と注記されています。これはaboutには「周辺」「近辺」の意味が含まれているためと思われます。
その他、形容詞にかかる例も出ています。
be slow of speech 話がおそい
be guilty of murder 殺人を犯している
以前見たようにof句が修飾語として動詞につく例として
I reminded him of our dinner this evening.
今晩の夕食のことを忘れないようにと彼に念を押した。
を挙げましたが、この文は関連のレベルが他の同類の構造の文とは異なっています。既述の用法の例文ですがもう一度見てみましょう。
[剥奪](Ⅱ[分離])内の例文として、意味は「直接目的語」に近いものとして(カギカッコ内は引用者)、
He robbed me of my money.
彼は私の金を奪った。 [彼は私を襲って、金をとった。]
They robbed the man of his watch.
彼らはその男から腕時計を奪った。
[出所](Ⅲ[根源])内の例文として、意味は「間接目的語」に近いものとして、
I asked a question of her.
*1 彼女に質問をした。 [私は質問をした。彼女に。]
May I ask a favor of you?
*2 ひとつお願いしてもよろしいですか。
他にbeg、inquireなどがこの形で使用されます。この構造では、前置詞は他にtoやforによる動詞が数多くあることはすでにおなじみのはず。
また補語の例として
This matter is of no importance.
この事柄は少しも重要ではない。
を[記述](Ⅰ[所属]内)の用法として挙げていますが、このofも構造的には関連づけるための、意味の希薄な連結詞となっています。
さて、「関連」において意味内容のもっとも抽象的な連結は、動詞を中心とする節レベルの構造を、名詞を核とする名詞句構造に変えるとき、もとの主語、目的語を示すためにofを使用する場合です。これは[文法的意味](VI)として次回考えて見ましょう。(ちなみに、補語という概念はこの方向とちょうど逆の関係になっているわけです。)
今日はこの辺で。御機嫌よう。
店主
質問はメールで。
メール: akira-sMabelia.ocn.ne.jp (Mの部分を@にかえて送信してください。)
件名: 英語QA