前回から英語にある、文の要素をつなぐことばについて考えています。文の要素というとまず単語でしょうから、まず一語でその役割を果たすつなぎ語を見ましたが、2語以上からなるものもあります。主に修飾となる、まとめてひとつの前置詞のように考える because of「の原因で」、instead of「の代わりに」みたいなグループ前置詞/群前置詞と呼ばれるものです。接続詞にも同類のものがあります。よく使われるものに as soon as「(~する)とすぐに」、next time「(~する)次の時に」があり、まとめてひとつの(従属)接続詞と考えます。
さて、一語レベルのつなぎ語にはもうひとつ、不定詞の to があります。(正確に言うと不定詞の前の to です。)基本的にはこれは前置詞と同じ役割をもち、名詞用法のときだけこの to は次の動詞が原形(不定詞)であることを示すマーカーです。形容詞用法、副詞用法はその名前の通り、前置詞句と同じ役割を果たします。(文の補語の場合はいくらか枠のはめ方にテクニックがあります。「準動詞が be 動詞のあとに来る場合」(2026-04-29)などをご参考に。)
そこで気がつくのは単語レベルだけではなく、それよりも小さいつなぎ要素とでも言うべきものがあります。接辞という用語で捉えていますが、上記の不定詞句と同様に意識されている –ing や –ed です。まず –ing の方を見ると(study に付けてみましょう)
名詞 studying「勉強すること」
形容詞 studying「勉強している」
副詞 studying「勉強して」
とそれぞれの役割の意味を考えることが出来ます。この仕掛けは不定詞と同じで
名詞 to study「勉強すること」
形容詞 to study「勉強するための」
副詞 to study「勉強するために」
などと文法的には同じ役割を担っている(文法的には並行性がある)のが分かります。(意味は –ing が同時性、to の方は未来性が意識され、関与する時間の先後認識に違いがあります。)したがって、いわゆる、現在分詞をつくる接辞 –ing も他の語句とつなぐ役割をもっていると言えます。(基本的には形容詞は名詞に、副詞は動詞につながります。)
また、過去形の標識ではない –ed がありますが、これには名詞用法はなく(動名詞の助けを借りて、being + 原形-ed で表せますが)形容詞として名詞に付く、副詞として動詞に付く用法があります。ところが、このような過去分詞の場合は使用頻度の高い動詞は –ed をもたない独自の形で(それも過去形と同じものが多く)出てくるため接辞としての「つなぎ」部分は希薄です。
さらに、他の接辞を見てみると(太字部)、
commercial「商業の」(形容詞)、active「活発な」(形容詞)、ambitious「野心的な」(形容詞)、slowly「ゆっくりと」(副詞)、clockwise「時計回りの/に」(形容詞または副詞)
など、語の後につくものだけですが、便利な仕掛けが語中に潜んでいることが分かります。
では、つなぎ要素・語の有無は英語の構造理解にどのような意味があるのでしょうか。
実は基本5文型と言われるものにはこの要素がない、という点が英語学習上重要なのです。その一部を日本語と比較してみましょう。
John is a student.
ジョンは学生である。[「です」、「だ」は「である」から]
John studies Japanese.
ジョンは日本語を勉強している。
英語の方には、日本語にある「は」「で」「を」にあたるつなぎ語がありません。
次回は、つなぎ語・つなぎ要素の有無という観点から英語の基本的な枠組みを観察してみましょう。"-_-"
参考文献:
服部吉彦ほか「中学校英語における文構造と文法項目に関する指導指針と実践上の課題―句レベル・節レベルの理解から―」『中部学院大学・中部学院大学短期大学部 研究紀要 23号』(2024年)pp. 33-41.
下内充「連結詞から見る日英語の文構造と英語の基本文型」塩澤正ほか編『現代社会と英語―英語の多様性をみつめて』(金星堂、2014年)pp. 275-283.






