英語の文の要素をつなぐことばとその仕掛けについて考えています。文の要素というとまず単語でしょうから、前回まで、一語でその役割を果たすつなぎ語を見ました。また、それよりも小さいつなぎ要素とでも言うべき、接辞についても一部「つなぐ」要素という観点から考えてみました。
そして、実は基本五文型にはこのつなぎ要素がない、という点が英語学習上重要であるという考え方を示しました。
今回は、つなぎ語・つなぎ要素の有無という観点から英語の基本的な枠組みを観察してみましょう。都合のいい例のみを挙げて進めるのも気が引けますから、手直にある英語の参考書の例文を拝借します。『基礎と完成 新英文法』をたまたま学習用に指定していますから、ここからの例を中心に考えましょう。
第一文型で挙がっている文は(p. 31)
a) Birds fly.
b) His father came yesterday.
c) John lives in London.
d) Mary went away.
e) The baby is sleeping in the bed.
ですが、a) と c) は(後者につなぎ語 in があり)すぐ、SV と読めます。e) はis sleeping が動詞句として V 扱いですから(2023-08-25参照)SV です。冠詞や代名詞の所有格(one’s)は名詞に付ける限定語で形容詞的ですが、father、baby が名詞で S とするとその前には文の要素は来ないのですぐに主語をとらえるのは難しくないと思います。
ここで気になるのは b) の yesterday と d) の away です。「昨日」は基本的には名詞ですが、日英語ともに「来る」は時間表現を付けるときには「に」を表す語が必要です。ところが日英語とも「昨日(きのう)に」、on yesterday と言わないのです。これは「今日」「昨夜」などと同様につなぎ語は表記しない習慣になっています(句レベルでは2025/05/31参照)。したがってこの副詞として扱う語は構造的にはつなぎ語が潜在していて[on yesterday]という構造と考えることができます。それに yesterday が名詞、副詞として辞書にあるなら、文の主要素として副詞は入れないわけで、b) は SV と解釈されます。d) の away に関しては(これも副詞として文の要素になりませんが)「もとは on way という前置詞句」(『英語語源ハンドブック』p. 23)ですから、一種つなぎ語をもっていると言えます。
したがって、本書での第一文型は、つなぎ語を除くと(そして冠詞など限定詞をとると)SV という構造が読める、というわけです。
副詞は一般的には補語として認めませんが、形容詞は補語として重要な役割を果たします。それで英語の文法の時間では
名詞は主語、目的語、補語になる。
形容詞は 修飾要素と補語になる。
と学ぶことになります。では補語には前置詞句が形容詞として入れます。小学校で
He is from Osaka.
などの文に出会っていない人はいないでしょう。中学校の教科書にも頻出します(2024-05-31参照)。
ところが、第二文型(SVC)の例ではふつうこの構造は避けられます。なぜでしょうか。つなぎ語が表に出てしまうからです。
しかし、このつなぎ語は直接 VC をつなぐ要素ではないのです。この構造を次回詳しく見てみましょう。"-_-"
参考文献:
安藤貞雄『基礎と完成 新英文法』(新装版)開拓社、2021年
唐澤 一友ほか『英語語源ハンドブック』研究社 、2025年






