「つなぎことば」について(2)

前回から英語にある、文の要素をつなぐことばについて考えています。文の要素というとまず単語でしょうから、まず一語でその役割を果たすつなぎ語を見ましたが、2語以上からなるものもあります。主に修飾となる、まとめてひとつの前置詞のように考える because of「の原因で」、instead of「の代わりに」みたいなグループ前置詞/群前置詞と呼ばれるものです。接続詞にも同類のものがあります。よく使われるものに as soon as「(~する)とすぐに」、next time「(~する)次の時に」があり、まとめてひとつの(従属)接続詞と考えます。

さて、一語レベルのつなぎ語にはもうひとつ、不定詞の to があります。(正確に言うと不定詞の前の to です。)基本的にはこれは前置詞と同じ役割をもち、名詞用法のときだけこの to は次の動詞が原形(不定詞)であることを示すマーカーです。形容詞用法、副詞用法はその名前の通り、前置詞句と同じ役割を果たします。(文の補語の場合はいくらか枠のはめ方にテクニックがあります。「準動詞が be 動詞のあとに来る場合」(2026-04-29)などをご参考に。)

そこで気がつくのは単語レベルだけではなく、それよりも小さいつなぎ要素とでも言うべきものがあります。接辞という用語で捉えていますが、上記の不定詞句と同様に意識されている –ing や –ed です。まず –ing の方を見ると(study に付けてみましょう)

名詞 studying「勉強すること」
形容詞 studying「勉強している」
副詞 studying「勉強して」

とそれぞれの役割の意味を考えることが出来ます。この仕掛けは不定詞と同じで

名詞 to study「勉強すること」
形容詞 to study「勉強するための」
副詞 to study「勉強するために」

などと文法的には同じ役割を担っている(文法的には並行性がある)のが分かります。(意味は –ing が同時性、to の方は未来性が意識され、関与する時間の先後認識に違いがあります。)したがって、いわゆる、現在分詞をつくる接辞 –ing も他の語句とつなぐ役割をもっていると言えます。(基本的には形容詞は名詞に、副詞は動詞につながります。)

また、過去形の標識ではない –ed がありますが、これには名詞用法はなく(動名詞の助けを借りて、being + 原形-ed で表せますが)形容詞として名詞に付く、副詞として動詞に付く用法があります。ところが、このような過去分詞の場合は使用頻度の高い動詞は –ed をもたない独自の形で(それも過去形と同じものが多く)出てくるため接辞としての「つなぎ」部分は希薄です。

さらに、他の接辞を見てみると(太字部)、

commercial「商業の」(形容詞)、active「活発な」(形容詞)、ambitious「野心的な」(形容詞)、slowly「ゆっくりと」(副詞)、clockwise「時計回りの/に」(形容詞または副詞)

など、語の後につくものだけですが、便利な仕掛けが語中に潜んでいることが分かります。

では、つなぎ要素・語の有無は英語の構造理解にどのような意味があるのでしょうか。

実は基本5文型と言われるものにはこの要素がない、という点が英語学習上重要なのです。その一部を日本語と比較してみましょう。

John is a student.
ジョン学生ある。[「です」、「だ」は「である」から]
John studies Japanese.  
ジョン日本語勉強している。

英語の方には、日本語にある「は」「で」「を」にあたるつなぎ語がありません。

次回は、つなぎ語・つなぎ要素の有無という観点から英語の基本的な枠組みを観察してみましょう。"-_-"


参考文献:
服部吉彦ほか「中学校英語における文構造と文法項目に関する指導指針と実践上の課題―句レベル・節レベルの理解から―」『中部学院大学・中部学院大学短期大学部 研究紀要 23号』(2024年)pp. 33-41.
下内充「連結詞から見る日英語の文構造と英語の基本文型」塩澤正ほか編『現代社会と英語―英語の多様性をみつめて』(金星堂、2014年)pp. 275-283.

 

 

「つなぎことば」について(1)

英語で名詞と名詞をつなぐことばは何でしょう、と聞くと皆さん、and でしょう、と答えが返ってきます。その通りです。その名称も接続詞ですから。では他の種類のよく使われる語は何でしょうか、と言うと、考え込んでしまいます。実は前置詞です。前置詞は名詞と名詞の間に入って、

名詞 前置詞 名詞

という構造で、前の名詞と後の名詞をつないでいます。ただしこれは and / or とは異なり、並置構造ではなく修飾する/かかる構造で

名詞 〈前置詞 名詞〉
the book〈on the desk〉  
〈机の上の〉本

となり、カッコの部分が前の名詞を説明・補足をします。切れ目は並置構造と同じで

名詞 / 接続詞 名詞
名詞 / 前置詞 名詞

です。日本語では上の訳のように助詞(前置詞に対して後置詞)は前の名詞に付きます。

このような、何かと何かを「つなぐ」ことばを仮に*で表記すると、英語の方は

the book〈* the desk〉  
名詞 〈* 名詞〉

日本語の方は

〈〈机*〉上*〉本
〈〈名詞*〉名詞*〉名詞

日本語の「の上の」を英語の on にあたる部分とすると

〈名詞 *〉 名詞

となりますから、日英語では修飾の構造(かかる構造)が英語と逆構造になっています。(これはちょうどこの紙面を向こう側から見ると対応する構造を見ることができるので鏡構造と言えます。それぞれが鏡像として捉えられます。)

さて、英語に戻って、もう一つの種類の従属/従位接続詞と呼ばれる接続詞は、では何と何をつないでいるでしょうか。時の接続詞(when before after など)、理由の接続詞(because as など)などの、後に節構造(SV)が来る構造をつくります。

I visited him when he was sick.
彼が病気の時お見舞いに行った。
  ―ジーニアス英和辞典

では、一見、SV と SV をつないでいるように思えますが、そして中学校では「文と文をつなぐ」という説明はOKということになっていますが、実は節構造(SV)と左の動詞をつないでいます。すなわち、

visited * he was sick 
動詞 〈* 節 〉

です。(後の接続詞をもつ構造は前の動詞に従属している/従位にあると考えます。)そこで「前置詞句の規則」に戻ると、中学校で学んだように

前置詞句は形容詞句、副詞句として使用される

ですから前者が

名詞 〈* 名詞〉

副詞句は動詞にかかりますから

動詞 〈* 名詞〉

となり、つなぐことばとして、前置詞は句となり、名詞と動詞に関わります。すると従属接続詞は、

動詞 〈* 節 〉

ですが、これの相棒というべき

名詞 〈* 節 〉

はないでしょうか。そうです。関係詞です。

名詞 〈関係詞 節 〉

例えば、

the day〈when Beethoven was born〉  
〈ベートーベンが生まれた(時の)〉日  

のような場合です。この * の部分を「(名詞と)関係(づける)詞(ことば)」と呼んでいるのです。

並置の接続構造ではなく、修飾の構造をつくる仕掛けは以上のように

名詞 〈前置詞 名詞〉
動詞 〈前置詞 名詞〉
名詞 〈関係詞 節構造〉
動詞 〈接続詞 節構造〉

と、つなぐことばの名称は構造上の並行性を読みにくくしていることになります。名詞と動詞が節構造をつくり、それが上記の下の2つの構造の中に入ることも出来ます。名詞に関わるカテゴリーが形容詞、動詞に関わるものが副詞とすると、上のつなぎことば(連結詞と呼ぶ場合もあり)による構造把握は重要です。"-_-"


参考文献:
服部吉彦ほか「中学校英語における文構造と文法項目に関する指導指針と実践上の課題―句レベル・節レベルの理解から―」『中部学院大学・中部学院大学短期大学部 研究紀要 23号』(2024年)pp. 33-41.
南出康世・中邑光男編『ジーニアス英和辞典 第6版』大修館書店、2023年
下内充「連結詞から見る日英語の文構造と英語の基本文型」塩澤正ほか編『現代社会と英語―英語の多様性をみつめて』(金星堂、2014年)pp. 275-283.

 

準動詞が be 動詞のあとに来る場合(3)

準動詞の使い方に関して be 動詞のあとに続く構造について考えてきました。今日は過去分詞が続く場合です。基本的にはすぐ思いつくように、受動形として動詞句扱いする読み方です。

be  + 過去分詞

の部分を動詞句として、日本語では「れる/られる」を動詞に付けることで意味をとれます。

受動形以外の解釈として、自動詞の過去分詞による完了形の用法がありますが、

Spring is come.

のような短文構造での使用が多いので、意味をとるのは難しくありません。

では、過去分詞が修飾となる場合はどうでしょう。例えば、

an escaped prisoner  脱走犯
a withered flower  しおれた花
  ―『英文法総覧』p. 340

のような語句が補語として付く場合です。しかし、ここでは間に冠詞(a)がありその後に名詞が予測され

be +  a(n) + 過去分詞 + 名詞

となり、その構造は明解です。では、後尾の名詞が複数形の時はどうでしょうか。

They are escaped prisoners.  
They are withered flowers.  

be  + 過去分詞 + 名詞-s 

では、少し、

He was given the book.  
He was elected chairman. 

のような文と似ていますが、受動態に変形するとき

S V O O  → S V O
S V O C  → S V C

のように、動詞句のあとに目的語や補語が残る場合がありますが、使用されている動詞型の情報を読みとれば、難しくありません。

すなわち動詞句を読みとる(これを優先する)、さらに使用されている動詞型の情報をのがさない、という作業になる訳です。おそらく慣れている人は無自覚ですね。

ところで、この構造に関しては、順番からすると be 動詞のあとの要素が副詞になる場合を考える必要があります。しかし、

be  +  to 動詞の原形
be  +  分詞

の後の要素を副詞に読んでも自動的に補語と解釈されます。前者については前回も見ましたが(さらに、「補語としての節構造(1)」2024-10-27)、不定詞の前に補語を決めるものがあり、それが省略された

be + φ +  to 動詞の原形

という形から来ています。(φは省略された何らかの要素を表します。)また、

be  + 現在分詞
be  + 過去分詞

の後ろの分詞を副詞に読んでも、それぞれ

~しながらいる/ある
~されながらいる/ある

と解されますから、ここは、まとめて

進行形
受動形

と理解して問題ないことになります。"-_-"

参考文献:
安井稔・安井泉『英文法総覧』(大改訂新版)開拓社、2022年

 

準動詞が be 動詞のあとに来る場合(2)

準動詞の使い方に関して be 動詞のあとに続く構造について今回も見てみましょう。今日はそれが名詞に読める場合です。少し英語に慣れている人はまるで足元の狭い溝をまたいで通り過ぎるように理解してしまいます。その理由を考えてみましょう。ここでも前回同様に、

be + to 動詞の原形
be + 動詞の原形-ing

という形で使用されます。例えば

My dream is to be a doctor.
私の夢は医者になることだ。《補語》.
His hobby is growing flowers.
彼は花作りが趣味だ。

という例が辞書(ジーニアス英和辞典)に挙がっています。この場合は不定詞句、動名詞句ともに名詞用法で補語(C)という扱いになります。すなわち、補語の部分は

医者になること
花を育てること

です。前回の構造との大きな違いは主語に来る名詞が「概念」「活動」を表す語であることです。(すでに、「~なる/すること」が be 動詞とともに想起されていると考えられます。)前回の例を見ると

We are to meet at seven.
私たちは7時に会うことになっている。
We are meeting at seven.
私たちは7時に会うことになっている。

ともに、人間が主語に来てるところに大きな違いがあることが分かります。一般的に

不定詞  動的 未来的 動詞性が強い
動名詞  静的 超時的 名詞性が強い

という捉え方は、他動詞の目的語になるときにより強く意識されるように、役に立つかもしれません。時間を超えている、という取り方を、例えば、『基礎と完成 新英文法』では「事実志向的」として、「未来志向的」と区別しています。

さて、この「be + 不定詞」構造で後の方が副詞になる例は、すでに見たように(2024-10-27)基本的には補語で、その形容詞を担っていた部分が省略されている、と考えられます。また、「be + 動詞-ing 」の構造の第2要素を副詞として読むことは、現在分詞の基本的な意味である「状態・能動」をどちらにとっても保持するという点で、分類する意味がありません。

次回は過去分詞が続く形について考えてみましょう。"-_-"

参考文献:
安藤貞雄『基礎と完成 新英文法』(新装版)開拓社、2021年
南出康世・中邑光男編『ジーニアス英和辞典 第6版』大修館書店、2023年

 

準動詞が be 動詞のあとに来る場合(1)

動詞が名詞、形容詞や副詞の役割に転ずる用法としては、英語の学習が進む順に言うと、まず動名詞を学びます。次に進行形の中の分詞、そして不定詞の3用法として名詞、形容詞、副詞と続きます。このそれぞれの役割は、不定詞、動名詞、分詞を同時に学習するという配置になっていないため、それぞれの役割・用法については慣れて使用しているという人が多いようです。今回からこの構造が be 動詞の後に来たときの意味について確認しましょう。

動名詞と現在分詞が、–ing 形の名詞用法、形容詞用法として説明されないのは(文法書などで別の章立てになっているのは)、専門で英語を学んでいる人は知っているように、元々違う形で使用されていた語尾がのちに –ing という同じ形になったため(起源が異なるため)別の章で扱うという体裁になっています。(名称もわざわざ変えていることになります。)機能上は –ing の名詞用法は動名詞、形容詞・副詞用法は分詞と言ってしまってもそれほど支障はありません。

そこで、まず不定詞の用法ですが、

be + to 動詞の原形

という構造の不定詞の部分(to + 動詞の原形)は、a)名詞句、b)形容詞句、c)副詞句の場合があります。今日はこのうち、b) の形容詞句の場合の考え方を定型句という観点から確認しましょう。上記の構造内の不定詞句はすべて文法的には補語ですから、今までのこのページでも言及していますが、一番慣用的な捉え方は

be to の部分を助動詞のように読む(すなわち、「am/are/is/was/were to 動詞」をひとつの動詞句と読む)

という方法です。辞書でも必ず be 動詞の項に記載・説明があります。(皆さん手元の辞書でご確認を。)

We are to meet at seven.
私たちは7時に会うことになっている。
  ―ジーニアス英和辞典

この捉え方は、現在分詞の用法に対応しています。

be + 動詞-ing を進行形としてまとめる(すなわち、「am/are/is/was/were動詞-ing」ひとつの動詞句として読む)

We are meeting at seven.
私たちは7時に会うことになっている。

これは、動詞-ing 構造のもつ a) 名詞用法、b) 形容詞用法、c) 副詞用法のうちの b) の用法にあたります。それぞれ文法書では「予定」の be to、「予定」の進行形と呼んでいるものです。

上記2文とも同様の意味を表し(be to の方が be –ing より硬い表現となり異なるとしても)、構造上は動詞を中心にそこから文構造を捉えるという重要なテクニックが潜在しているというわけです。次のように下線部を動詞句扱いして、

We are to meet at seven.
We are meeting at seven.

と読むというわけです。分かっている人には何でもないのは、この構造(意味)を文脈に照らして即座に理解することに慣れてしまっているからに違いありません。"-_-"


参考文献:
安藤貞雄『基礎と完成 新英文法』(新装版)開拓社、2021年
南出康世・中邑光男編『ジーニアス英和辞典 第6版』大修館書店、2023年

 

 

分詞の捉え方(3)

分詞と言うと難しいものだというイメージをもっている人が多いようです。現在分詞は動詞に –ing が付いて形容詞、副詞として使いますが、過去分詞は不規則な形をもつものがあり、少し混乱します。

しかし、不規則形は考えようによっては便利です。と言うのは、見ればすぐ過去分詞であることが分かるという利点があるからです。(例えば、gone や been とあればすぐに分かります。)ところが、-ing 形には名詞用法もあり、これは形から見ると不定詞と同じで

名詞用法(動名詞と言われ、主語、目的語、補語になります)
形容詞用法(修飾と補語の役割をにないます)
副詞用法(修飾ですが、日本では分詞構文(をつくる)と言われています)

と3つの用法をもっています。

形容詞がどうして副詞、と不思議に思う人も多いですが、これはかなり単純な意味転移で知っておくと便利です。以下の考え方はずーと以前にどこかで読んだ説明ですが、今手元の文法書等を見ても出典が見つかりませんでした。例文も同じような文であったと思います。文中の king のあとの句は、過去分詞から派生した形容詞をもつ形容詞修飾です。

The king tired after the long journey went to bed early.
その長旅で疲れた王は早めに床についた。

この句は主語を限定する句で、その「疲れた」王様を説明しています。この句を追加的に付けると、いわゆる非制限用法としての句になり

The king, tired after the long journey, went to bed early.
王は、その長旅で疲れていたのだが、早めに床についた。

と一旦名詞と切り離され、主語のあとにその説明を補足するという形になります。ここで意味は右の方に流れていきます。右には動詞があり、そこに向かうことになり、

The king, tired after the long journey, went to bed early.
王は、その長旅で疲れていたので、早めに床についた。

と理由付けの句と読むことができるのです。ここで副詞としての読みが生まれます。(この転移は現在分詞でも同様です。)すると他の副詞の位置(「形容詞をもつ分詞構文とは」参照)2が可能になります。(修飾をMと表記、Sは主語、Vは述語動詞。意味上の主語が動詞の主語に一致する点に注意。)

1  S〈M〉V ~.  
The king, tired after the long journey, went to bed early.
2  〈M〉SV~.
Tied after the long journey, the king went to bed early.
長旅で疲れていたので、王は早めに床についた。

もう一つの副詞句の位置として

3  SV~〈M〉.

がありますが、時間の流れが左から右に意識される傾向があり、「床につく」よりあとに「疲れる」を補足するには抵抗があります。そのためこの文(だけの文脈)では不自然に感じられるようです。"-_-"

参考文献:
安藤貞雄『現代英文法講義』開拓社、2005年 

 

 

分詞の捉え方(2)

分詞と言うと難しいものだというイメージをもっている人が多いようです。現在分詞は進行形をつくる、過去分詞は受動態で使われる、というところまでは皆さん知っているようですが、実はこの部分で分詞を見ていると修飾での用法や補語の用法がかすみます。

分詞の補語の用法は be 動詞が

SVC

のVに入ったときに、この be とC内の動詞を動詞句として読む、すなわち

be + 分詞

をひとつの動詞のように扱うのが、進行形、受動形である、というところまで前回見ました。今日は have 動詞のあとの過去分詞について歴史を見てみましょう。

実は have 動詞のあとの分詞も補語で

have + C

の構造から、C内の分詞と have が言わば一体化して、動詞句という扱いになりました。この意識の変化は上記の進行形、受動形と同じものです。

古い時代の英語(古英語/古期英語)では

SVOC

の語順で完了を表す言い方があったようです。現代の英語で書くと

He has the job done.  
彼はその仕事のなされたる(状態)をもつ。

ですが、この構造は現代英語にも「完了・結果」を表す用法として残っています。ただし現代ではこの構造は OC の部分の行為が主語以外によって行われる場合に多用されます。(「経験受動態」や「使役」の用法とされます。この点については「被害の受身とhave 動詞」を参照してください。)

すなわち、最初は、分詞は修飾(M)で

S V O M

という枠で、まえにある名詞(O)を説明・限定していた形容詞というわけです。この OM の部分が動詞(have/has)に取り込まれて(文法化して)

S  V  O  C  

と構文化します。そのうち、(特に中期英語になってSVOの語順が定着して)OC の後の方に他動詞があり、しかもC 内の動詞が本動詞、have は助動詞という感覚が優勢になると、

S V C O

という形が優先され、すなわち、VC 内の have 動詞と過去分詞が動詞句(ひとつの述語動詞)という意識が強くなり、

S V O 

となります。

He has done the job.

です。自動詞の完了形にはすでに古英語時代から「be 動詞 + 過去分詞」構造(Spring is come. など)もありましたが、この have 完了形の使用が自動詞にも拡大しました。

このような変化の過程は知らなくても have と過去分詞を動詞句として慣れればいいのでは、という意見もあるでしょうが、上にふれたように、have 動詞の SVOC の枠に使用される過去分詞の用法理解にもつながり有用です。"-_-"


参考文献・ウェブサイト:
朝尾幸次郎(2019)『英語の歴史から考える英文法の「なぜ」』大修館書店
堀田隆一「完了構文「have + 過去分詞」の起源と発達」『Hellog ~英語史ブログ』(#2490)