動詞句の構造

英語の文を要素で表した時に

SV
SVC
SVO

などで書かれることが多いと思いますが、この V の部分に入って来る構造は、例えば手元の参考書(『基礎と完成 新英文法』p. 122)で見ると (1) takes から (24) may have been being taken まで、24種類がリストになっています。この部分を動詞句と呼んでいますが、ここでのように take を例にとると分詞をともなって be taken(受動態)、be taking(進行形)などの拡張形(日本語にならって複合形とも)をつくるために一見複雑に見えます。

この部分の構造がしっかり書けない人がいる理由の一つは、完了形、進行形、受動態とそれぞれその形態だけに注意が行っていて、完了進行形(継続用法)どまりであることに原因があるようです。この部分の使いこなしは簡単ですから、ここで覚えてしまいましょう。

まず、分詞と作る基本的な形態は次の3つです。

A have + 過去分詞 (完了形)
B be + 現在分詞 (進行形)
C be + 過去分詞 (受動形)

この形はこの順序でしか組み合すことができません。日本語の

する + れる/られる + ている + た
動詞    受動      状態   完了

が、この順序で「~されていた」としか言えないように英語にも規則があります。

英語の同様の組み合わせは

完了形 + 進行形 + 受動態

と逆構造になります。上記のABCを全部組み合すと

A     have + 過去分詞                (完了形)
B          be + 現在分詞            (進行形)
C              be + 過去分詞        (受動形)           
A+B+C   have   been  being  過去分詞     (完了進行受動態)

となります。A、B、Cのうちから2つを組み合わせる形は、この順でしか「足し算」できませんから、

A + B =  have been + 現在分詞 (have been taking)
A + C =  have been + 過去分詞  (have been taken)
B + C =  be being + 過去分詞  (be being taken)  

の3形態ということになります。

以上の形態(左端の動詞は原形)を合わせると
ABC 3形
A+B A+C B+C 3形
A+B+C 1形

全部で7つの形態があることになり、そのそれぞれが現在形、過去形として、または助動詞をともなって使用されますから、7 × 3 = 21 、さらに

takes
took
will take

など動詞が分詞のない構造で使用される3形を加えると、24通りの形が得られというわけです。

ただし、A+B+Cの組み合わせは上記参考書の例にも注記があるようにあまり使われません。

The building will have been being built for three months next week.
そのビルは来週で、3ヵ月間建築中ということになる。

という文を覚えていますが、これも普通は、

The building will have been under construction for three months next week.

などと言うと注記されていたと思います。出典は思い出せませんが、修士論文を書いていた時に暗記しましたから、おそらく下に挙げたリーチかパーマーにあったものと思います。"-_-"


引用・参考文献:
安藤貞雄『基礎と完成 新英文法』(新装版)開拓社、2021年
パーマー、F. R.(安藤貞雄 訳注)『英語動詞の言語学的研究』大修館書店、1972年
リ-チ、G. N.(國廣哲彌 訳注)『意味と英語動詞』大修館書店、1976年
Twaddell, W. F., The English Verb Auxiliaries (Second Edition), Brown University Press, 1963.