辞書を読む

英語の have は他動詞と助動詞

前回の be 動詞を読んだ人(極少数)は予想できたと思いますが、今回は have 動詞について確認したいと思います。動詞句として、完了形をつくりますが、その作り方として have + 過去分詞 という説明になるかと思います。この have が現在の時、現在完了と言…

英語の be は自動詞と助動詞

英語の be 動詞は動詞句として、進行形、受動形をつくりますが、その形については be + 現在分詞be + 過去分詞 という説明になるかと思います。この段階でこの be は助動詞扱いになっているという点はわざわざ言わない場合もあるのではないでしょうか。生徒…

楽器の the について

英語の定冠詞に関して教えるとき、日本語で「その」は言わない場合が多いため、特に中学校では説明に困ることがあります。それもある程度文脈で特定できる名詞を言う場合はまだしも、文脈が希薄化している用法ではいくらかその文脈を説明・補足する必要があ…

語彙を強化するには

語彙を増やす方法ということになると、第一に造語成分を多く覚える、という方法があります。漢字の部首(偏 (へん)、旁 (つくり)、冠 (かんむり) など)を覚えることで漢字の構成を知り効率を高めるのと同じです。英語学では形態素(意味の最小単位)と言っ…

被害の受身と have 動詞

使用例を数えたわけではありませんが、have のあとに「何か/誰かが~される」という構造が過去分詞で作られる場合、よくない状況・事態を表すことが多いように感じます。そしてこの構造にあまり慣れていない学生が散見されます。 中学校の指導項目にこの(過…

前置詞 in の用法(5)

前置詞 in の後の名詞は「容れ物」という認識があるという観点で、in の用法を考えてきました。今回は残りの用法をいくつか考えることにします。例文は『ジーニアス英和辞典』(シャープ電子辞書版、大修館書店、2001年)からです。 何らかの行為は活動に解…

前置詞 in の用法(4)

前置詞 in の後の名詞は「容れ物」という認識があるという観点で、in の用法を考えてきました。2回目には、[手段・材料]の用法を説明するのに、この一見不可解な用法が、「活動」を達成するための経験的な関連により、その活動に近接する「手段、材料」に…

前置詞 in の用法(3)

前回は、[手段・材料]の用法は、「活動」とそれを達成するための「手段」の経験的な関連により発展したというところまで説明しました。 このような経験上の近接的な転移はことばの使用ではありそうなことで、それが習慣化することはメトニミー的であると言…

前置詞 in の用法(2)

前回は、in の基本的な意味は「~の中に/の」であり、基本的には in + 容器 という感覚がある、という点を見ました(2022-06-30)。今回はこの「容器」が抽象的な「状態・状況」に転移して使用される例を見てみます。 容れ物として、分かりやすいのは in th…

前置詞 in の用法(1)

英語の前置詞では比較的分かりやすいものとしてin、on、at が場所、時間でよく使われます。この基本的な意味は in ~ 「~の中に/の」 on ~ 「~の上に/の」 at ~ 「~に/で/の」 と訳語が与えられますが、意味は基本的には in + 容器 on + 接触している…

擬音語を使った表現

日常的な話題を扱う英文を読んでいるとしばしば辞書の訳語では意味をとりにくいことがあります。その例として擬音語(オノマトペ)をもつ英語の動詞 crash を見てみましょう。 実用英語の教科書にある表現ですが、まず Warm-up に There was ice on the road…

前置詞 for の用法について(7)

『ジーニアス英和辞典』(電子辞書版、大修館書店、2002年)に沿って、for の用法を見てきました。 今日は最後の項目Ⅴ[範囲・時]について考えてみましょう。 18[期間・距離]については、それほど悩むところはないと思います。目的語にそれぞれ期間、距離…

前置詞 for の用法について(6)

『ジーニアス英和辞典』(電子辞書版、大修館書店、2002年)に沿って、for の用法を見てきました。 最後の項目Ⅴ[範囲・距離]に行く前に、Ⅲの[理由]の中の 10 にある訳語「で」について補足をしておきたいと思います。 確かにここの例でみる限り for this…

前置詞 for の用法について(5)

今回は『ジーニアス英和辞典』(電子辞書版、大修館書店、2002年)のfor の項のⅣ[関連]の中の「12 関連」、「13 適否」、「14 観点・基準」という項目について考えてみましょう。(例文等、出典明示のない場合は同辞書から。) [関連]としている項目は、…

前置詞 for の用法について(4)

今回は『ジーニアス英和辞典』(電子辞書版、大修館書店、2002年)のfor の項のⅡ[交換]の用法を見てみましょう。(例文等、訳も同辞書から。) 前置詞 for の当初の意味のとり方としては、形容詞用法(名詞にかかる)を「ための」、副詞用法(動詞にかかる…

前置詞 for の用法について(3)

前回は動詞の意味が、かなり意味自体としては動きのない本来のfor「前にして」に転移して「方向」や「希求」の用法が観察されることを見ました。 今回はもっと積極的にfor の目的語に働きかける、心理的には共感する、という用法を『ジーニアス英和辞典』(…

前置詞 for の用法について(2)

前置詞 for の基本的な意味として「~のために/の」を覚えている人が多く、そのおかげで大体、文の意味をとることができる、という話を前回書きました。 では、その訳語に対応する、原因・理由、受容者、目的以外の用法でその訳語が通用するか見てみましょう…

前置詞 for の用法について(1)

前置詞の使用頻度はBNC(British National Corpus)によると、of が一番で、そのあと in、to と続き、for がランクされています。用法としてはどれも同じぐらい細分化されていて簡単ではありませんが、in が「中」、to が「方向」と具体的な使用例が多く、とら…