前置詞 in の用法(5)

前置詞 in の後の名詞は「容れ物」という認識があるという観点で、in の用法を考えてきました。今回は残りの用法をいくつか考えることにします。例文は『ジーニアス英和辞典』(シャープ電子辞書版、大修館書店、2001年)からです。

何らかの行為は活動に解釈できます。以前状態性の強い

be in politics 政治に携わっている

というのを見ました(2022-09-30)が、in の後に動名詞句が入ったときにも同様にその句の表す行為が容れ物となるのが感じられます。次の例文

You should be careful in crossing the street. 道路を渡るときは注意しなさい。[3 b]

のように、時間(同時性)が感じられる場合には when の節に対応すると言えます。これが文脈によっては

in accepting his view 彼の考えを受け入れることによって

のように[11 手段]と解釈することもできます。このようにどうやら英語では概念は容れ物と考える方が都合がいいようです。日本語では

in a way ある点で

in every way どの点からみても

のように、概念を視点としてとらえる感覚があり、特に that 節と共に用いる

in that ... …という点で、…のために 

High income tax is not good in that it may discourage people from working harder.

高い所得税は人々の勤労意欲をそぐという点でよくない。

のような例では、どの辞書も「点」という訳語を使用しているようです。

10 [方法・様態](…(のふう)に、…で)の中の

in this way こんなふうに

She cooks chicken (in) the way I like. 彼女は私の好みに合うように鶏肉を料理する。

では way は「方法」という意味で「道」から心理的に転移している意味と考えられますが、これがさらに抽象化すると「点」(見る方法)と日本語では狭くなるようです。(「道」→「方法」→「点」。)

14 [同格関係](…という)の同格というのもすぐには見えませんが、例文

You have a good friend in me. 君にはぼくというよい友だちがある。

に沿って考えると、概念の「私」の中の「友だちがい」と「よい友だち」(a good friend)の同一化を読みとらせようとする文で、これも一種のメトニミー(全体で一部を表す)と考えられます。また

16 [行為の対象](…に対して、…を)の in も

believe in God 神の存在を信じる

persist in one’s belief 自己の信念を通す

に見られるように、神という概念の中に信仰をおき、自分の確信の中に居座りつづける、という気持ちでしょう。

またその容れ物の枠を前回時間で見たように意識すると

12 [形状・配置・順序]

cut it in [into] two それを2つに切る

wait in a queue 列を作って待つ

in alphabetical order アルファベット順に

13 [数量・単位]

in twos and threes 2、3の単位で;三々五々

The eggs were packed in dozens. 卵はダース単位で包装された。

も納得がいきます。主語や目的語となっているものや人が容れ物の中に入ることになりますが、基本的にはどうやら、中にいる/あることに意識が向かうか、その周辺(枠)を意識するかは、その状態・行為等の種類が決めるようです。"-_-"

22 Dec CIMG4080