自動詞としての get「到着する」についての例(2023-02-28 Tue)でも見ましたが、”get to 場所” のような句では
Could you tell me how to get there?
そこに行く方法を教えてください。
など、「行く」と言う方が好まれるようです。(文例は New Crown English Series 3 より。訳は引用者。)日本語ではどうやら「行く」「来る」動詞を優先的に使用するという傾向がうかがえます。これが影響してか、英語を話すときにも英語では be 動詞で表現するところを次のように「行く」「来る」としてしまう、という指摘があり、日本人の英語としては興味深い特徴と言えます。
ある会議に関して話題にしています。
I went there (to the meeting). Why didn’t you come?
英語の母語話者であれば、
I was there. Where were you?
と表現しそうです。行動のとらえ方が異なっている、と考えられます(「ニホン英語のきざし」『新アジア英語辞典』p. 275)
英語の授業でも、開始時に先生が「前回どこまで行きましたか」と言うところ
Where were we?
と言っていました。英語を習い始めて早い時期に出会う表現に
Where are you from?
I am from Kyoto.
というやり取りがありますが、ここも「来ました」です。完了形でよく使う表現「どこかへ行ったことがある」も
I have been to Nara.
と be 動詞を使います。他にも
I’ll be back in a minute. すぐ戻って(back)きます。
He'll be here soon. (彼は)まもなく来ます。
など、まず日本語では「いる」(「すぐに戻っているでしょう」「ここにいるでしょう」など)とは言わない例が多いのに気がつきます。
英語では習慣化していませんが、出かけるときに言う、「行ってきます」という表現は「行く」も「来る」入っていますが、しいて英語で言うなら、
I’m off.
I’m leaving.
I’m going.
で最後の例には「行く」のみ入っているという具合です。また、「ただ今(帰ってきました)」という挨拶も英語では(やはり習慣化していないとしても)
I’m home.
と言えるようです。会話表現に多く使用されそうですから、意識的に be 動詞寄りの表現を使うようにすると英語が話しやすくなるかもしれません。"-_-"
引用・参考文献:
根岸雅史ほか、New Crown English Series 3、三省堂、2021年
本名信之・竹下裕子編著『新アジア英語辞典』三修社、2018年